動揺すらもあなたへの愛

掲載日:2006-08-28(2010-11-06、改稿)

聡くんは私を憎んでる。私は聡くんを愛してる。
愛情すらも君への復讐』の知菜視点。

目次

  1. 報われずとも幸せですか
  2. 甘い憧憬を棄てられますか
  3. どうして断定を避けるのですか
  4. 知らないふりを続けられますか
  5. すべてをさらけ出せますか
  6. 抑制されたそれは果たして感情と呼べるものですか
  7. 本当に答えはひとつですか

お題配布元:『TV』より「君に贈る7つの動揺」(お題順番を変更)

1.報われずとも幸せですか

「知菜?」
 ぼんやりと花火をする高校生ぐらいのグループを見ていた私に、聡くんはすまなさそうに問いかけてきた。
「やっぱり花火したかった?」
 今日はサークルのみんなで花火をする集まりがあったけど、今日はそれを断って二人で遊んだ。試験勉強でここ三週間ほどはお昼に大学で会ったり、ちょっとだけ電話やメールをしていたくらいだから、二人で過ごそうと聡くんから誘ってくれたことはうれしかった。
「花火は、あまり好きじゃないからいいの」
 そう言ってさりげなく、けれど注意深く聡くんの表情を伺う。彼は「花火が好きじゃないって珍しいね」とだけ笑って、すぐに次の話題に移った。
 彼におかしなところはない。私が、読み取れる範囲では。
「大学の試験ってけっこう簡単だったろ」
「うん、びっくりした」
 一回生の私は前期の試験が初めての定期試験だった。授業で問題を教えてくれる先生や持込が可能な試験もあり、高校までと比べればがぜん楽だ。論述問題は大変だったけど、暗記科目よりは私に合っていたようで問題ない。
「聡くんとあんまり会えなかったのは寂しかったけど」
 聡くんは二回生だから、私に比べたら試験もたくさんで忙しいのだ。
「俺もだよ」
 苦笑しながら聡くんは私の手をとって、抱き締めてくれる。

 でもね、私は知っているよ。
 私があなたを愛すれば愛すほど、あなたは低く笑っていることを。

 ――「ちょっと、危ないじゃない!」

 花火をしている高校生の声が突然はっきりと私たちの元に届いた。

 ――「うわ、ごめん。後ろにいるって気がつかなかった」
 ――「声かけようとしたら急に振り返るんだもん。花火持ったまんま。火傷するとこだったよ!」
 ――「だからごめんって。おわびにジュースおごるから」
 ――「あ、ホント? じゃあカフェオレね」

 私を抱き締める聡くんの力が、痛いくらい強くなった。
 抱き締められる私は聡くんの顔を見ることができなくてほっとする。きっと今の聡くんは普段私に見せない表情をしているだろう。それが冷ややかなのか憎悪に満ちているのかまではわからないけれど。

 聡くんは私を憎んでいる。
 だからこそ、私と付き合っている。
 私は聡くんを愛してる。
 だからこそ、聡くんと付き合っている。

 決して私が聡くんの憎しみに気がついていることを気取られてはいけない。彼の計画を邪魔しちゃいけない。
 最後に私はボロボロになってしまおうとも、私は聡くんと一緒にいたい。計画を邪魔しなければ、当分は一緒にいられる。優しい仮面で甘い言葉で接してくれる。

 この愛が報われなくてもかまわない。
 あなたが一緒にいてくれるなら。

2.甘い憧憬を棄てられますか

「誕生日おめでとう、聡くん」
 そう言って私はプレゼントを差し出した。聡くんは突然の私の行動に驚いている。誕生日を教えてもらったことはなかったけど、聡くんに恋した高校時代に調査済みなことだ。せっかく彼女になって気兼ねなく誕生日を祝うことができるのだから、抜かりはない。
 たとえ、プレゼントは捨てられるか仕舞い込まれるかしても。
「そういえば今日って俺の誕生日なんだな。忘れてたよ」
 プレゼントを受け取りながらも照れたように笑う聡くんが好き。
「開けていい?」
 頷くとさっそく包装を解きはじめている。出てきたのは画集。聡くんは美術サークルに所属しているだけあって絵が好きだ。私みたいに、好きな人の追っかけて入ってるのとは大違い。でも私も聡くんの影響で美術館に行くのが好きになったから、いいでしょ?
「ミュシャだ」
 プレゼントはアルフォンス・ミュシャの画集。前にミュシャ展に行った時、聡くんはとても気に入っていたようだった。画集を買おうか悩んでいたけど、結局はポストカードを何枚か買うに留めていた。だから私は画集を贈る。
「これ、高かっただろ。いいのか?」
「聡くんの部屋に置いておけば私も好きな時に見れるからいいよ。私も気にいってるから」
 一瞬、聡くんの表情が強張った。たぶん「聡くんの部屋に置いておけば私も好きな時に見れる」という言葉に対した動揺だろう。
 その表情の意味を罪悪感ととってもいいの? 私を騙してボロボロにするために付き合っているとしても、ちょっとは好きでいてくれていると思ってもいいの?
 そんなことを考えてしまう自分が嫌だ。
 でも「ありがとう」と優しく微笑みんで、優しく私を抱き寄せてキスをしてくれる聡くん。とても私を大切に扱ってくれる聡くん。――期待を、してしまう。

 あなたが私を憎んでいてもかまわない。
 だけど、甘い憧憬は棄てられない。

3.どうして断定を避けるのですか

 私は一人、雪すら降りはじめそうな寒空の中で待っていた。
 聡くんとの待ち合わせ。けれど、一時間経っても彼は来ない。私は今日、ずっと一人だろう。聡くんは連絡一ついれずにすっぽかしたのだ。

 それでも私は待ちましょう。
 あなたの憎しみを受け入れましょう。
 あの日見つけた一枚の写真。
 あなたは私を愛しはしないと知った時から、憎しみでしか繋ぎとめられないこの想い。

 ***

 まだ聡くんと付き合いはじめたばかりの6月半ば。私が聡くんの部屋に上がった三回目の夕方。夕食を作ろうとすると焼肉のたれがなくて、聡くんは近くのコンビニに買いに行ってしまった。
 聡くんの部屋に一人でいることにドキドキしながら落ち着きなく視線を彷徨わせる。一人暮らしなのに片付いていて、モノトーン調にまとめられた部屋はとても落ち着いた空気に、胸がきゅんとして思わずにやけたりしていた。
 そのうちCDラジカセの横に並べられていたCDを見つけ、タイトルを眺めた。ポップス系のCDの中に一枚だけあるクラシックのCDが目に付いて、なんとはなしに取り出してみる。ショパンやリストなどのピアノ曲を集めたもののようだ。作品解説を見てみようとCDを開けると、一枚の写真が入っていた。
 元カノかもしれない。躊躇いながらも、不安と嫉妬に写真を手にとった。

 この先この写真を見たことを永遠に後悔し続けるだろう。

 写真の中で微笑む一人の少女。長い黒髪も抜けるような白い肌もあの頃と変わっていない一人の少女。けれどその左目には眼帯。そして、大人びた微笑み。
 私はこの少女を知っていた。忘れるはずもなかった。忘れられるはずもなかった。
 ――そして感じたのは、絶望。

 少女の名前は鈴木楓。
 聡くんの名前は鈴木聡。
 同じ苗字。一歳の歳の差。ここにある写真。
 二人は、兄妹?

 次に感じたのは恐怖。
 聡くんはあのことを知っているの?
 知らないはずだ。知っていれば、私と付き合うはずなんてないのだから。
 なのにこの苦しさはなんだろう。
 知らない? 知っている? きっと知らない。本当に?

 帰ってきた聡くんは私の変化に気がつかなかった。
 でも私は、ふいに見せる冷えた眼差しに気がついた。

 ***

 「聡……くん?」
 トイレから帰ってくると聡くんが待ち合わせ場所にいた。待ち合わせ時間から既に二時間が過ぎているから、今日はすっぽかしたと思っていたのに。
「どこ行ってたんだ」
 珍しく聡くんは私に直接苛立ちの含んだ目を向ける。
「トイレに……」
 聡くんが来たことにも驚いたけど、優しい仮面をはずした目をしていることにも驚いた。
 ふいに聡くんが私の頬に触れる。
「どうしてもっと早く帰らないんだ」
 声にも抑えられない苛立ちが混じった。
 どうしよう、聡くんは甘い言葉で絡めとり私に復讐することに飽きてしまったのだろうか。もう、一緒にいてはくれないんだろうか。
「だって、」
 聡くんの復讐の邪魔はできないもの。そう言ってしまいそうになった。そして、邪魔をしないからどこかに行ってしまわないでと縋りつきたかった。
「なんとなく帰るタイミング見逃したの」
 拒絶されることが怖くて、本当に捨てられることが怖くて、聡くんの憎しみに気がついていると知られることが怖くて、私は適当なことを言って笑った。
 すると突然、聡くんが私を抱き締める。いつもと違う荒々しい抱きしめ方。

 それでも、あなたは私を憎んでる?

4.知らないふりを続けられますか

 聡くんの視線を感じた。

 雪の降る中で待ちぼうけを喰らったけれど、なぜか聡くんがやってきて、今は聡くんの部屋にお泊まりしている。聡くんの腕の中で私は眠ったふりを続けたけれど、いつまでも聡くんの視線が離れる気配はなかった。
 自意識過剰かもしれない。聡くんは眠っていて、私のことなんて見ていないかもしれない。けど、目を開いて確認することはできなかった。

 私達は学科も違うけど、同じ美術サークルに入っている。そこで私達は知り合った、というわけではなく、高校が同じだったのだ。
 生徒会長をしていた一つ先輩の聡くんが好きで、聡くんを追ってこの大学に入り、美術サークルに入った。最初の自己紹介で聡くんは私が同じ高校ということを知り、よく話すようになって、六月には告白されて付き合いはじめた。
 そして私は鈴木先輩から聡くんと呼び変える。聡くんは朝倉さんから知菜と呼んでくれるようになった。
 私を知らないと言った聡くん。私も聡くんが知っているなんて思いはしなかった。一方的な憧れを持っていただけし、話したことすらないのだから。

 けれど私は見つけてしまった。聡くんの部屋で、あの写真を。

 突然、聡くんの指が私のまぶたをなぞった。
 私は何の反応も返さないように体の力を抜いて、まぶたを動かさないように神経を集中させる。呼吸を妙に潜めてしまったことには気がつかれなかっただろうか。

 聡くんは何度も何度も私のまぶたを指でなぞる。
 なにを思っているのだろう。愛を込めて? 憎しみを込めて?

 私は寝たふりを続ける。
 聡くんの憎しみなんかには気がついていないふりをする。
 何も知らないふりをする。

 だから、一緒にいられるの。

5.すべてをさらけ出せますか

 楓は可愛かった。長い黒髪に抜けるような白い肌。無邪気な微笑み。その全てが愛らしくて、その全てが鼻についた。私は楓が嫌いだった。

 きっかけはささいなことだ。私が当時好きだった西山が楓を好きだったからだ。楓は気がついていなかったけど、西山を見ていた私は気がついてしまった。それから、それなりにうまくやっていた私達の関係は変わってしまった。
 楓はおとなしい。嫌とは言わない。いつの間にか私達のグループで楓はパシリになっていた。ものを隠したり、壊したりもした。直接暴力こそ振るわなかったけど、放課後ふだん使われないトイレに閉じ込めたこともある。下校時間までには出したけど、直前にここのトイレの怪談話を吹き込んだだけあって、楓は本当に怯えていた。

 そんな風に中学二年の秋から三年の夏まで私達の関係は続く。
 そして中学三年の夏休み、それは起こった。

 その日は楓に花火を持ってくるようにと命令して、友達数人と川べりに集まった。私達は楓を無視して楓の持ってきた花火で遊ぶ。仲間はずれの楓は一人で線香花火をしていた。
 私は調子に乗っていたのだろう。楓を見下して、優越感でいっぱいだった。だからあんなことをしたんだ。
 一人で線香花火をしていた楓を呼んで、こちらを見た瞬間に火花を散らしたままの花火を楓に向けて投げつけたのだ。
 楓は驚いて顔を腕で覆った。けれど間に合わなかった。楓は目に火花が入って失明した。顔にも腕にも火傷の跡が残った。
 これにはさすがに私も動揺した。ひどい怪我をさせるつもりはなかったのだ。ただ、驚かせて怯えさそうとした。花火が危険なものだという認識が欠落していた私は愚かだ。
 楓は私が投げつけたことは言わず、風向きが変わって火花が自分のところにきたと言ったし、その場にいた友達も関わることを恐れて楓の言葉を支持した。私は何も言えなかった。
 その後楓は学校に来なくなった。私たちのグループもバラバラに受験の波に流されて、私は一人電車で一時間かかる高校に進学した。

 そして私は聡くんに出会う。何も知らないまま。

6.抑制されたそれは果たして感情と呼べるものですか

 デートの途中、CDショップに寄った。ぶらぶらと店内を歩いてお互いに好きな曲を言い合っていたら聞こえてきたピアノの音。
「ショパンの『雨だれ前奏曲』だ。私、この曲好き」
 そんなことを言った私は、本当に馬鹿だった。好きな曲を言い合っていたからすんなり出てきた言葉。けど、私が口にしてはいけなかった話題。
「クラシック、好きなの?」
 聡くんは優しい笑顔で問いかける。でもその目が笑ってなんかいないことに、嫌でも気づいた。
「百均でクラシックのCDを買ったことがあるの。その中に『雨だれ前奏曲』が入ってたのよ。普段はあんまり聴かないけど、勉強する時とかだけ聞くの。だから、クラシックが特別好きってわけじゃないよ」
 私は不自然に早口にならなかっただろうか。言い訳がましくならなかっただろうか。私の動揺に、聡くんは気がつかないでいてくれただろうか。
「ふーん、そうなんだ。俺の妹はクラシックが好きで、毎日のようにピアノを弾いているよ」
 聡くんがはっきりと『妹』と口に出したことは初めてだ。失明する前から楓はピアノがうまかった。今も、音色を頼りに弾いているのだろうか。
 私は平静を装って笑顔をつくる。
「聡くんには妹がいるんだね」
 微笑みむだけで聡くんは私の言葉を受け流した。そしてクラシックの隣の棚にあるジャズのCDを指して、俺はこれが好きと何事もなかったかのように話を戻した。

 聡くんは復讐ために私と付き合っている。
 けど、聡くんは私に嫌な思いなんてたまにしかさせない。時折私の料理や買ってきたものに難癖をつけたり、待ち合わせをすっぽかしたりする程度だ。しかもその後は、ご機嫌でもとるように優しく甘い言葉を囁いて抱きしめてくれる。
 私をどんなに憎くても、他の人と付き合ったり、べたべたするようなことはしない。それが私にとって一番つらいことだけど、聡くんは自分の復讐に他の人を巻き込む事を避けている。私に暴力を振るったりとかも避けている。
 だから聡くんの復讐は中途半端。どんな風に私をボロボロにするつもりなんだろう。

 聡くんは気がついているのかな?
 私の前から消えることが一番の復讐だと。

7.本当に答えはひとつですか

 ぱちぱちと線香花火が咲き乱れる。
 私達は川べりで花火をしていた。あの日と同じ場所で花火をしていた。聡くんからの誘いで。私はその誘いに乗った。彼の復讐を邪魔したくなかった。
「知菜は線香花火を持たせるのがうまいね」
 ひどく甘い声だった。
 ぱちぱちと線香花火はなおも咲き乱れる。
 聡くんは別の花火に火をつけて、黄色い火花が噴出するのを見つめたまま私に問いかけた。
「花火って、火傷しそうで怖いよね。だから知菜は花火があまり好きじゃないの?」
 私が花火は嫌いと言ったのは一年前。覚えていたのに聡くんは花火に誘った。この川べりで。
「火傷ってね、痕が消えないんだ。ずっと」
 線香花火はもう終わってしまった。だから私はじっと噴出する火花を見つめたままの聡くんの横顔を見つめる。

 ふいに私は噴出する火花の中に右手を突っ込んだ。
 熱かった。痛かった。それでも私は無表情に手を突っ込み続ける。
 けれどすぐに火花はそれた。そしてものすごい勢いで腕を引っ張られて川の中に右手を突っ込まれる。

「馬鹿……! なにを考えてるんだ!」
 聡くんの怒鳴り声は初めてだった。
「火傷の痕は消えないって言ったばかりだろ!」
 だからこそ、それを望んだんじゃないの? 復讐のために。
「聡くんは人に花火を向けるなんて出来そうじゃなかったから」
 途端に聡くんの顔が強張った。それが暗闇でもわかるほどの距離に聡くんはいる。
「だから最後の花火は私からこうしないとな、って思ったの」
 最後の花火。そう、きっとこれが最後。
「知って、いたのか」
 かすれた問いに私は淡く微笑んだ。
 知っていたよ。聡くんが楓の兄だということも、――もうすぐいなくなってしまうことも。
「最高の復讐だよ。聡くんが私の前からいなくなること」
 聡くんは九月からドイツの大学に留学する。大学も休みに入ったし、一度実家に帰るのだろう。
 聡くん達はもともとこの地区に住んでいた。けど、楓の失明が原因で父方の祖父母の家に引っ越した。聡くんは大学のことも考えて高校の近くで一人暮らしをしていた。
 私が聡くんを家族と引き離した。
「ずっとずっと聡くんが思っている以上に、私は聡くんが好き」
 右手はまだ聡くんに掴まれて水につけられたまま。
「だから、聡くんがいなくなるのはたまらなく苦しい」
 狂おしいほどに愛してる。
 私にすら理由なんてわからない。
「知菜は……」
 何か言いかけて、何も言えずに聡くんは口を閉ざす。

 あなたを愛しています。
 だから、どこにも行かないで。

 ***

 聡くんとはその日以来会っていない。いつの間にかドイツに行ってしまっていた。
 聡くんのいない日々。三ヶ月経っても苦しいまま。
 あの日の左手の火傷は今も残っている。あの後すぐに聡くんが近くの家から氷をもらってきて、冷やした状態で病院に連れていってくれた。
 だからこそ、この火傷すら愛しい。聡くんに繋がるもの。聡くんとの思い出。
 それを支えに私はなんとか大学には通ったけど、サークルはやめた。聡くんがいないならいる意味がない。授業をいっぱいに詰めて、休みの日はバイトをいっぱいに詰めて、なにも考えないように動いた。
 どうしても慣れることはできない。聡くんのいない世界はどうしてこんなに色褪せているの?

 そんな中で、聡くんからハガキが届いた。
 ハガキには「冬休みにはドイツにおいで」と書かれていただけだったけれど、私は宛名も含めて何度でも読み返す。
 聡くんの字だ。
 いつの間にか涙がこみ上げる。
 聡くん聡くん聡くん。愛しています。
 たとえ、復讐のために私を永久に離さないでいるだけだとしても。

 憎しみでかまいません。
 憎んで憎んで憎み続けて。
 そして、私を見つめ続けてください。
 あなたの瞳に映るのは私だけ。
 あなたの心を占めるのは私だけ。

 私は喜んであなたの復讐を受け入れましょう。


お題配布元:『TV』より「君に贈る7つの動揺」(お題順番を変更)

inserted by FC2 system