たとえ二度と会えなくても
掲載日:2006-08-23
「別れてください」
あたしは深く、頭を下げた。
***
「なっ――」
晴彦は当然あたしの発言に絶句する。
無理もない。四日前――金曜日の放課後には晴彦の部屋で彼にすすめられた本をのんびりと読んでいた。晴彦は晴彦で図書室から借りてきた文庫本を手に熱い紅茶を飲む。たまに本の感想やたわいもないおしゃべりを楽しむ夕方だった。
なにも変わったことはない。
おとといあたしが熱があってしんどいといって携帯の電源を切ったり、きのう学校を休んだ以外には。
「いきなりなにを……」
本当に、いきなりすぎて頭の中は真っ白といった感じだ。
あたしは顔を上げてまっすぐと晴彦を見る。
それしかあたしにできることはない。
それしかあたしの気持ちを訴える術はない。
不意に晴彦の視線が動いいてあたしの左手の薬指を見た。
あたしは撫でるようかつて銀の輝きがあった指に触れる。
こういう風に何度手を這わせただろう。
不安で寂しくて悲しい時、支えてくれた銀色の指輪。
おそろいの指輪がほしいといったあたしに、晴彦が照れながらもくれた大切なもの。
彼の指輪はチェーンに通して首からかけている。今も服の中で胸元に銀の輝きがあるはずだ。
あたしは自分の胸元に手を動かし、銀の輝きを手放して手にした深緑の石を握り締める。
ため息をついて、彼は自分のカップに紅茶を注いだ。立ち上る熱い湯気。熱い飲み物の好きな晴彦。猫舌のあの人。
「どういうことなんだ」
冗談だと笑い飛ばせないと判断したらしい晴彦は、渋い顔で促す。
切なくなった。
彼はやっぱりあたしの好きな人だ。
きのう学校を休んだあたしを気遣ってくれたり、大丈夫だと笑うと、よかったと微笑んでくれる。話があると言ったあたしを自分の家に招いて温かい紅茶を用意してから、どうしたんだと尋ねてくれる。そして、突然のあたしの言葉もちゃんと受けとめようとしてくれる。
そんな一つ一つの晴彦が、その全てが好き。
「好きな人がいるの」
だからあたしは正直に話す。
結果として彼が傷付いても、ずるずると関係を続けることはできない。
痛みの走った晴彦の目を、あたしはそらさずに見る。あたしは逃げてはいけない。
「いつから?」
紅茶に口をつけて落ち着いてから、晴彦が口を開く。
……いつから?
その質問は返事に困った。
だって確かに晴彦のことが大好きだった。今だってそれに偽りはない。
ただ、晴彦とは別に好きな人ができた。苦しくて切ないほど好きな人が。
「わからない」
どう言えばいいかわからない。
「そいつとつきあうの?」
俺と別れてそいつとつきあうの?
必死に感情を抑えて、あたしが怯えないように穏やかに問いかけてくれる。
泣きたくなった。
「それはできない」
できないのよ。
あの人とつきあうことなんて、もうできない。
「それは……俺を気にして? それとも両思いじゃないの?」
「あたしはそんないい子じゃないし、あの人もあたしを好きでいてくれる」
「じゃあなんで」
無理なの。
泣き叫んだってだめなの。
もうあの人には――。
「あの人には会えないの」
世界中どこを探したっていない。
どんなに努力しても無意味。
「まさか……死んで」
あたしの言い方だったらそうとらえてしまうのだろう。でも違う。
「死んだわけじゃない。でも会えない。奇跡がおきなければ会えないという意味なら、同じようなものかもしれない」
奇跡によってあの人に会えた。
奇跡によってしかあの人に会えない。
困惑していく晴彦の表情を眺めながら、やっぱり全てを話したいと思った。
それが正しいかどうかはわからないけど話したかった。話せる人は彼しかいなかった。
たった三日。
晴彦にとってはたった三日の間に、あたしは変わった。
あたしには、一年半にも満たないけど、確かにそれだけの永い日々があった。
あたしは飛んだ。
あの人のいる世界に。
どこからどう話していいかもわからない。
ふざけるなと怒るかもしれない。
呆れ返ってもう話を聞いてくれないかもしれない。
それは普通の反応だし、あたしだってそんな反応を返すに決まってる。
それでもこれは真実だ。
あたしのとっては、かけがえのない一瞬だった真実だ。
あたしはあの人に恋をした。
あの人はあたしを好きになってくれた。
もう会うことはできないけれど、これからもずっと好きな人。
***
寒さに目を覚ましたあたしは、見知らぬ場所にいた。
目の前に広がるのは朝日が顔を出し始めた海。
あたしが横たわっていたのは堅い地面。
パニックに陥った。
ここがどこかもわからない。
風景も、人々も、さまざまなものがあたしの知らないものだった。
パジャマので見慣れないあたしを、道行く人は不審気に見つめ、去っていく。
ここはどこ?
どうしてあたしはここにいるの!
泣きたくなった。
わけがわからなかった。
すがるように指輪に触れる。
そんな時、あの人に声をかけられた。
はじめは知らない男の人に警戒を示した。
でも独りぼっちで心細いのも事実だった。
「どうなされたんですか?」
穏やかな声に晴彦が重なった。
あたしはついに泣き出して、その人が本気でおろおろしたのをよく覚えてる。
深緑の瞳を持つその人は、フーガといった。
***
引きずられるようにフーガのお姉さんの家に連れて行かれて、冷え切った体を温めろとお風呂場に突っ込まれて、熱いお湯を浴び、ようやく落ち着いた。
リザという名前のとても美人なお姉さんは(美人ですねって言ったら「素直ね」と胸を張っていた)暖かいココアをいれてくれた。それを口にしながらあたしは話す。
自分でもなにがなんだかわからないことを説明するのは大変だった。
けど二人はちゃんと聞いてくれて、半信半疑ながらもあたしの気迫っぷりにリザさんの家に置いてもらえることになった。
あたしはこの世界に慣れるのに必死だった。
信じがたい事態であろうとも現実にあたしは知らない世界にいた。
めそめそしているだけではだめだとわかっていたし、リザさんとフーガのおかげでこの世界で生きる場所と知識をもらえた。
だからあたしはこれは不幸中の幸いだと言い聞かせて、あたしの世界につながる晴彦にもらった指輪を支えに、顔を上げた。
***
フーガは誰に対しても丁寧な言葉で接した。
あたしより二歳年上の人にそういう態度で出られると、気後れしてどうすればいいかわからなくなる。
それが性格だったなら仕方がないので諦めたが、街で見かけたフーガは友達と軽口を叩いているのを発見した。
普段の一人称は「私」だったのに、友達と話しているときは「俺」だった。
あの時は本当に驚いた。思わずあたしは「フーガさんが敬語を使う限り、あたしも敬語を使い続けるわ」とわけのわからない抗議をして「さん」付けから呼び捨てで呼んでもらえるようになった。
認めてもらえたような気持ちになって、嬉しかった。
それから次々と発見するフーガの意外な面をあたしは楽しく観察していた。
熱い飲み物は苦手。
かなりの甘党。
丁寧で紳士的だが笑顔で有無を言わせず主導権を握る。
一つ発見する度に「晴彦は熱い飲み物が好き」「晴彦は苦い食べ物が好き」「晴彦はいつもぼんやりと穏やかだ」などと晴彦と比較してしまう自分が嫌になったりもしたけれど。
「ねぇ、知ってる?」
ある日リザさんが悪戯っぽく耳打ちした。
「フーガってね、あんたが来る前は月に一回くらいしかあたしの家に顔見せなかったのよ」
意味を考えて、赤面した。
フーガは毎日顔を出している。あたしを心配してくれているのだろう。
うれしいと思った。
その時にはもう、好きになっていたのかもしれない。
必然だった。
奇跡でしか出会えなかったあの人を、この世界で初めての頼れる人を、好きになったことは必然だった。
***
困惑をあらわにしながらも晴彦はあたしの話を黙って聞いてくれる。
時々何かいいたげに唇が動くけど、あたしの話を遮ろうとはしない。
好きよ。
そんなあなたが好きなのよ。
もうあなたの隣にいることはできないけど、今でもあなたのことは大好きなのよ。
信じてくれなくていい。
でも、以前のままではいられないの。
***
その日あたしは無性に晴彦に会いたくなって、一人で隠れて泣いていた。
フーガに引かれていることは知っていたけど、それでも晴彦が恋しかった。
会いたくて会いたくて。
「はるひこぉ……!」
声を殺して、彼を想う。
初めてあたしがつきあった人。
告白はあたしからだった。
あの時は本当に緊張した。
図書委員だった彼が当番をしていた放課後に、今まで本に興味のなかったあたしが図書室へと足繁く通う。もちろん彼に会うために。
たまたま図書室にあたしと彼しかいなくなったから、衝動的に告白してしまって泣きたくなった。
彼はあたしのことなんてクラスメイトとして認識しているかすら怪しかったのだ。だから、まさか彼も好きでいてくれるなんて思いもしなかった。
彼とおそろいのシルバーの指輪。
露店で売っていたのを彼が買ってくれた。お返しに、あたしも彼に買って。
ありがとうと笑いあったあの日を、今でも鮮明に覚えてる。
左手の薬指にはめたそれを、左手ごと握りしめて、額に押しつける。
いとしい。
彼の笑顔が、その声が、いとしい。
――優しく頭をなでられて。
「……フーガ」
いつの間にかフーガがいた。
口元は曖昧な笑みをたたえ、困ったような暖かい眼差しで、あたしの頭を慰めるようになでてくれる。
ああ、晴彦に会いたい。
だけどフーガと離れたくない。
矛盾。矛盾矛盾矛盾矛盾矛盾!
それでも――。
***
「あたしフーガのことが好き」
ぼんやりと呟くようにフーガの背中に投げかける。
大きな音を立ててフーガは読んでいた本を落とした。
顔が見えない。
「ずっとフーガといたい」
穏やかに流れる時間を、フーガと過ごしたい。
フーガは何も言わなかった。あたしは黙って答えを待つ。
「――会えないんだぞ」
帰れないんだぞ。そう告げたフーガはまだこちらに顔を向けてくれない。
「いいの。会いたいけど、帰りたいけど、そうしたらもうフーガには会えない。それは嫌なの」
それだけは嫌なの。
指輪はきのうの夜に、手放した。
未練を断ち切るように、小箱に入れて棚の奥にしまいこんだ。
忘れることはないけれど、あたしの中でのけじめのために。
フーガと生きることを選ぶ、けじめのために。
「本当に?」
「本当に」
それをあたしは選んだから。
次の瞬間、あたしは引っ張られてフーガの腕の中にいた。
強く抱きしめて、ささやくようにフーガは言う。
「よかった……」
あたしはしがみつく。
離れない。
離れたくはない。
だからお願い、もうあたしから何も奪わないで。
***
けれど運命は残酷だった。
あたしがフーガと同じ世界を選んだその時から全ては終わりに近づいていた。
あたしはあたしの世界に帰らなくてはならなかった。
体から力が抜けていくようにあたしの存在が消えていく。
恐ろしくて恐ろしくて、自分の存在を確かめるように、フーガに抱きつくしかなかった。
リザさんが立ちすくんでいる。
わざわざあたしたちのために用意してくれたティーセットは無残に床に散らばって。
ただあたしの名前を何度も呼んでくれて。
「いやだ! ここにいたい! ここにいたいのよぉ!」
どうして?
どうして離れなければならないの!
こんなに近くにいるのに。
こんなに温もりを感じるのに!
大好きなのよ。
フーガも、リザさんも、この世界も!
きつくあたしを抱き締めて、フーガは叫ぶ。
「行くな! お願いだからいかないでくれ!」
行くなと、痛いほど力を込めて。
急激にあたしから意識が遠のいていく。
それでもただ、抱きしめて。
フーガの名前を。
「――――!」
***
気がつくとあたしは自分の部屋のベットの上にいた。
戻ってきてしまった。
戻ってきてしまったのだ。
唇をかみしめる。
こぶしを握り締める。
抑えられない激情があたしの中を駆け巡る!
「なんで――!」
覚えている。
残らずみんな覚えている。
なのにもう二度とあの人とは会えないの?
いつもあたしを励まして、からかって、背中を押してくれたリザさんとももう会えないの?
どうして失わなければならない。
どうして一度奪ったものを再び与える!
ひどい。
ひどすぎる!
あふれる涙は止まらない。
悔しさと切なさに叫びたい。
――携帯が鳴った。
あたしの意識がはっきりと現実に戻る。
今は何日?
この着メロは、晴彦。
震える手で携帯を手に取った。
日付はあたしが向こうに飛んだ土曜日の朝。
こちらでは、ほんの少しの時間しか過ぎていない。
一年半にも満たないけど、あたしが過ごした日々が幻のように。
違う。
幻なんかじゃない。
あれは確かにあった日々。
この痛みが嘘なわけない。
深呼吸して、ゆっくりと電話に出る。
『あ、おはよう。起きてた?』
なつかしい、声。
「晴彦……」
涙がさらに込み上げる。
『どうした』
あたしの震えた声に驚いているようだった。
変わらない。
変わるはずもない。
彼にとっては昨日の今日。
なのにあたしはもう指輪を手放して、別に想う人がいる。
「なんでもないの……。ごめん、今日はあたし、熱があるみたいでしんどいの。つらいから、今日の映画やめにしていい?」
あんなに待ち望んでいたデートだった。あの日からの続きを紡ぐことができるのだ。
でも、今はつらい。
うれしいと思うことすらつらい。
『大丈夫か。見舞い、行こうか?』
その優しさが、痛い。
「大丈夫。心配しないで。しんどい時は、あんまり人に会いたくないの」
『まあ、そうだな。見舞い行くと、逆にお前無理に起き上がりそうだし。わかった。ちゃんと寝とけよ』
「うん。ありがとう。ごめんね」
本当に、ありがとう。
『じゃあ、お大事に』
本当に、ごめんなさい。
***
久しぶりに会う母は、あたしがふさぎこんでいると、はじめのうちこそ心配そうにして声をかけてきた。
だけどそっとしておいた方がいいと判断したらしく、必要以上にかまわないでいてくれた。
私の家。私の母親。もう決して会えないはずだった人。
あの人に会えなくてこんなに苦しいのに、ここにいると癒される。家が、こんなに暖かい場所だなんて知らなかった。
それでも月曜日は、さすがに学校を休んだ。
でも、食卓について笑顔を浮かべることはできた。
あたしは一人、深緑の石のペンダントを握り締める。
お祭りで露天に並ぶ綺麗な品々から、あたしはこれがほしいと思った。
フーガの瞳と同じ深緑の光。
そんなものを、運がいいのか悪いのかこちらに持ち帰ってしまった。
否応なしに思い出す。
面影がちらつく。
血を吐くほど叫んだ。
涙が涸れるまで泣いた。
それでも収まらない激情は、暴れてまぎらわすことすらできなかった。
あの人を想う。
あの人の声も、優しさも、温もりも、ちゃんと覚えてる。
たとえもう二度と会えなくても、決して忘れることはない。
「会いたい」と狂おしいほど叫んだ。
***
「それで、決定打となった理由は?」
一通り聞き終えた晴彦は、冷め切った紅茶を流し込むように一気に飲んだ。
「……信じてくれるの?」
自分でもふざけた話だと思う。
すると苦々しい眉をひそめられた。
「そりゃ、信じられないさ。それでもお前はそいつが好きなんだろ」
うなずく。
「俺にとっては信じる信じないの問題じゃないんだ。お前には他に好きな奴がいて、そいつともう二度と会えなかろうと譲れないんだ」
そうね。譲れない。
「だから俺は、別れたいっていう気持ちの決定打となったものを知りたいんだ」
意味がわからなかった。
それはもう話したはずだ。
あたしには他に好きな人が――。
「それこそ俺を利用してしまえばいい」
淋しさを紛らわせて、切なさを埋めるように。
きっとあたしがフーガを好きになった理由に、同じものがある。
淋しかったから。
だからフーガに恋をした。
でもそれだけでなかったことも知っている。
それだけだったらこんなにいとしく想わない。
指輪を手放そうとも思わない。
「そうしてほしいの?」
「……微妙だな。前みたいになれる可能性だってありそうだけど、やっぱきついものがあるな」
フーガと晴彦。
二人とも好き。
どちらが一番好きではなくて、どちらも別の次元で特別。
二人とも、あたしが全然違う人と結婚しても、永久に好き。
好きでも恋はいつか終わりを告げる。
だからといってあたしが好きな気持ちが消えるわけじゃない。
だって好きになったんだもの。
あたしが好きになった人だもの。
あたしと晴彦の間の恋はもう終わっている。
それにあたしたちは気づいている。
「決定打になった理由なんて、どう言えばいいかわからない。それに、晴彦はもう知っているんでしょう?」
「知ってるね」
肩をすくめて困ったように微笑む。できれば知りたくなかったと。知らなければ食い下がってでもおまえを引き止めるのに。
しばらくあたしたちの間に、沈黙が流れた。
それは重くもなく、ただ静かで。
終わりをいとおしむように。
***
「じゃあね」
あたしは立ち上がって扉に向かう。
「じゃあね」
彼はあたしを真っすぐ見つめて、大好きな笑顔をくれる。
それでも彼は決して立ち上がらない。
これはけじめ。
あたしたちが別れるためのけじめ。
ここで送ってもらえば未練が残る。
だからただ「じゃあね」の言葉だけであたしたちは別れる。
じゃあね。
あたしはあなたが大好きです。
***
あたしたちはのんびりと原っぱに寝っ転がって空を見ていた。
風が吹いて、耳元でさわさわと草が揺れる。空は突き抜けるように青くて、白い雲がゆっくりと流れていく。
「もしもあたしが元の世界に帰ってしまったら、フーガはどうする?」
空を見上げたまま問いかけた。
返事はなかなか返らなかったので、寝たのかなとフーガの顔を見ると、彼の目がしっかりと開いていて、先程までのあたしと同じように空を見ていた。
その目に宿る感情が、何だったかはわからない。
「たとえ……」
かすれるように呟いたのに、低く、よく通る声。
「たとえ君が帰ってしまっても、たとえ二度と会えなくても、俺は君を忘れない。別の人を好きになっても、君をずっと想うよ」
静かにフーガの視線があたしに落とされた。
ふわりと微笑むあたしに口づけをくれた。
――君のことが好きだから。
『たとえ二度と会えなくても』の超短編バージョン。この話が気に入ってしまって長編に直し中だったりします。というかこれだけだと晴彦もフーガもいい奴すぎて人間味に欠ける。ついでにお気に入りのリザさんもあんまり存在感ないです(彼女結婚しているんですよ)。ここ数年、長編を書きあげたことがないのでできるかどうかは不安。でも第二部のエピソードもありますし書きたいなぁ。
これを書いた時は一気に書きあげたんです。でもこだわりがありました。主人公を「あたし」とだけして名前を出さない。晴彦は「彼」。フーガは「あの人」「その人」。「愛」という言葉を使わない(愛しい→いとしい)。たいした理由はないんですけどね。
【小説】 【index】